省力化投資補助金(一般型)とは?対象となる設備の考え方を中小企業診断士×行政書士が解説

省力化投資補助金(正式名称:中小企業省力化投資補助事業)は、人手不足に悩む中小企業の設備投資を後押しする制度です。なかでも「一般型」は、IoTやロボット、AIなどのデジタル技術を活用した設備導入を幅広く支援するもので、これまで継続的に公募が行われています。
本記事では、制度の全体像とあわせて、申請時に誤解されやすい「対象となる設備」の考え方を中心にお伝えします。なお、本制度は年に複数回、継続的に公募が実施されている制度です。直近の公募は申請受付から締切までの期間が短いため、今回の申請が間に合わない場合でも、次回以降の公募に向けて早めに準備を進めることをおすすめします。
省力化投資補助金(一般型)とは
本補助金は、人手不足に悩む中小企業等が、ICTやIoT、AI、ロボット、センサー等のデジタル技術を活用した専用設備を導入する際の費用の一部を補助することで、省力化投資を促進し、付加価値額や生産性の向上、賃上げにつなげることを目的とした制度です。
省力化投資補助金には「カタログ注文型」と「一般型」の2つの型があります。カタログ注文型は、あらかじめ国に登録された製品カタログから設備を選んで導入する簡易な仕組みです。一方、一般型は、自社の課題や作業工程、事業所のレイアウト等に合わせて機能・構造・性能等を個別に設計・開発した設備を導入する事業計画が対象となるため、カタログ注文型と比べて審査項目が多くなる点に留意が必要です。
対象となる設備の考え方:オーダーメイド設備とは
一般型で申請する際に最も誤解されやすいのが、「対象となる設備」の考え方です。公募要領では、対象となる専用設備を「オーダーメイド設備」と呼び、次のように定義しています。
オーダーメイド設備とは、ICTやIoT、AI、ロボット、センサー等を活用し、単一もしくは複数の生産工程を自動化するために、外部のシステムインテグレータ(SIer)等との連携を通じて、事業者の個々の業務に応じて専用で設計された機械装置やシステム(ロボットシステム等)のことをいいます。
そのため、汎用設備やパッケージソフトなど、オーダーメイド性のない設備・システムを単体で導入するだけの事業は、原則として対象外です。
ただし、ここで押さえておきたいのが次のポイントです。汎用設備であっても、事業者の導入環境に応じて周辺機器や構成する機器の数、搭載する機能等が変わる場合や、省力化に資する汎用設備を複数組み合わせて導入することで、より高い省力化効果や付加価値を生み出すことができる場合には、オーダーメイド設備とみなされ、本事業の対象となります。つまり、必ずしも一からのフルオーダーメイドでなくても、汎用設備の組み合わせ方や構成次第で対象になり得るということです。
なお、カタログ注文型の製品カタログに掲載されている製品についても、そのまま単体で導入する場合は対象外ですが、導入環境に応じて周辺機器や構成機器の数・機能を変える場合や、複数組み合わせることでより高い効果を生み出す場合は、一般型の対象として認められ、審査でも一定程度考慮されます。自社の設備計画が「単体導入」になっていないか、「組み合わせ・カスタマイズによってどのような効果が生まれるか」を具体的に説明できるかを、申請前に必ず確認してください。

省力化投資補助金(一般型)の対象となる事業者
日本国内で法人登記等がされ、日本国内に本社及び補助事業の実施場所を有する中小企業等(個人事業主を含む)が対象です。業種によって資本金・従業員数の基準が異なります。
- 製造業・建設業・運輸業など:資本金3億円以下 または 常勤従業員300人以下
- 卸売業:資本金1億円以下 または 常勤従業員100人以下
- サービス業(ソフトウェア業・情報処理サービス業・旅館業を除く):資本金5,000万円以下 または 常勤従業員100人以下
- 小売業:資本金5,000万円以下 または 常勤従業員50人以下
このほか、応募申請時点で常勤従業員数が0名の事業者は、対象となる給与が存在しないため応募できません。

省力化投資補助金(一般型)の補助上限額・補助率
| 従業員数 | 補助上限額 |
|---|---|
| 5人以下 | 750万円(賃上げ特例1,000万円) |
| 6〜20人 | 1,500万円(賃上げ特例2,000万円) |
| 21〜50人 | 3,000万円(賃上げ特例4,000万円) |
| 51〜100人 | 5,000万円(賃上げ特例6,500万円) |
| 101人以上 | 8,000万円(賃上げ特例1億円) |
補助率は、中小企業が1/2(最低賃金引き上げ特例適用時2/3)、小規模企業者・小規模事業者及び再生事業者が2/3です。また、1人あたり給与支給総額を年平均成長率+6.0%以上増加させ、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+50円以上の水準とする事業計画を策定する事業者は、補助上限額が従業員規模に応じて最大2,000万円上乗せされます(大幅賃上げ特例)。適用要件の詳細は公募要領でご確認ください。
補助対象経費
主な補助対象経費は以下のとおりです。なお、単価50万円(税抜)以上の機械装置等の設備投資が必須で、これを含まない申請はできません。
- 機械装置・システム構築費(必須):機械・装置、工具・器具、専用ソフトウェア・情報システムの購入・製作・構築等
- 技術導入費:知的財産権等の導入に要する経費(上限:補助対象経費総額の1/3)
- 知的財産権等関連経費:知的財産権等の取得に関連する弁理士手続代行費用等(上限:補助対象経費総額の1/3)
- 外注費:専用設備の設計等の一部を外注する経費(上限:補助対象経費総額の1/2)
- 専門家経費:専門家への謝金等、1日上限5万円(上限:補助対象経費総額の1/2)
- クラウドサービス利用費・運搬費
一方で、事務所家賃や汎用パソコン・スマートフォン本体、自社の人件費、税理士・弁護士費用、交付決定前に発生した経費などは対象外です。機械装置・システム構築費以外の経費は、総額で500万円(税抜)が上限となる点にも注意してください。
省力化投資補助金(一般型)の採択のための基本要件
採択されるには、補助事業終了後3〜5年の事業計画において、以下をすべて満たす必要があります。
- ①労働生産性要件:労働生産性(付加価値額÷労働者数)の年平均成長率を+4.0%以上向上させること
- ②賃上げ要件:1人あたり給与支給総額の年平均成長率を+3.5%以上増加させること(未達の場合、補助金返還義務あり)
- ③事業場内最賃水準要件:事業場内最低賃金を、地域別最低賃金より+30円以上高い水準に毎年維持すること(未達の場合、補助金返還義務あり)
- ④ワークライフバランス要件(従業員21名以上の場合のみ):次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表していること
①〜③は再生事業者を除き、未達成の場合に補助金の返還義務が発生する重要な要件です。また④の一般事業主行動計画は、公表申請から掲載まで2週間程度かかるため、対象となる場合は早めの準備をおすすめします。
申請前に必ず知っておくべき3つのポイント
① 「後払い」である
補助金は事業実施後に請求して初めて支払われる後払いです。採択されてもすぐに入金されるわけではないため、事業実施中の資金繰りは自己資金や融資で賄う計画が必要です。
② 「交付決定の前に発注・購入してはいけない」
採択の通知(補助金交付候補者の決定)を受けても、その時点ではまだ発注・契約・購入はできません。交付決定の通知を受けた後でなければ、補助対象経費として認められません。採択=即発注ではない点に注意してください。
③ 「採択後も要件維持が必要。未達は返還義務あり」
採択後も、補助事業終了後3〜5年間にわたり事業計画の進捗を報告する義務があります。賃上げ要件・事業場内最賃水準要件が未達の場合は補助金の返還が求められます。実現可能な目標設定が重要です。また申請にはGビズIDプライムアカウントの取得が必須で、発行に一定の期間を要するため、早めの準備をおすすめします。
参考情報
本記事の内容は、以下の一次情報をもとに作成しています。申請を検討される際は、必ず最新の公募要領・スケジュールを公式サイトでご確認ください。
省力化投資補助金(一般型)のまとめ
省力化投資補助金(一般型)は、人手不足解消に向けたデジタル技術活用設備の導入を支援する制度で、カタログ注文型に比べて自由度が高い一方、審査項目も多くなります。
特に以下の点は必ず押さえておいてください。
- 対象はオーダーメイド設備。汎用設備の単体導入は原則対象外
- ただし汎用設備でも、組み合わせ方や構成次第でオーダーメイド設備とみなされ対象になる
- 補助金は後払い。交付決定前の発注はNG
- 賃上げ・最賃要件の未達は返還義務あり
- 本制度は継続的に公募が行われているため、今回間に合わなくても次回以降に向けた準備を
「自社の設備計画がオーダーメイド設備として認められるか」「どう組み合わせれば省力化効果を説明しやすいか」など、具体的なご相談はお気軽にご連絡ください。初回相談は無料、全国オンライン(Zoom)対応しています。


