新事業進出・ものづくり補助金「革新的新製品・サービス枠」とは?対象になる事業を解説

新事業・ものづくり補助金の革新的新製品・サービス枠で対象となる事業を中小企業診断士・行政書士が解説

新事業進出・ものづくり補助金(正式名称:新事業進出・ものづくり商業サービス補助金)には、「革新的新製品・サービス枠」「新事業進出枠」「グローバル枠」の3つの枠があります。このうち「革新的新製品・サービス枠」は、旧・ものづくり補助金の中心的な枠を引き継ぐもので、自社の技術力を活かした新製品・新サービスの開発に取り組む事業者を対象としています。

本記事では、第1回公募要領を参考に、この枠に絞って、対象になる事業・ならない事業の具体例と、補助上限額・経費・スケジュールなど申請前に押さえておくべきポイントをお伝えします。

新事業進出・ものづくり補助金「革新的新製品・サービス枠」とは

本枠は、革新的な新製品・新サービス開発の取組を支援することを目的としています。ここでいう「革新的な新製品・新サービス開発」とは、顧客等に新たな価値を提供することを目的に、自社の技術力等を活かして新製品・新サービスを開発することを指します。

重要なのは、既存の製品・サービスの生産等プロセスについて改善・向上を図る事業は補助対象外という点です。単に機械装置・システム等を導入するだけで、新製品・新サービスの開発を伴わないものも対象になりません。

対象になる事業・ならない事業の具体例

公募要領では、対象外となるケースが具体的に示されています。申請前に、自社の計画が該当していないか確認しておきましょう。

  • 対象外:既存の製品・サービスの生産等プロセスの改善・向上にとどまる事業
  • 対象外:機械装置・システム等の導入にとどまり、新製品・新サービスの開発を伴わない事業
  • 対象外:業種ごとに同業の中小企業者等(地域性の高いものは同一地域内の同業他社)において、既に相当程度普及している新製品・新サービスの開発
  • 対象:顧客等に新たな価値を提供する目的で、自社の技術力等を活かして開発する新製品・新サービス

「新しい設備を入れること」自体が目的化していないか、「その設備によって、これまでにない製品・サービスをどう生み出すのか」を具体的に説明できるかが、審査上のポイントになります。

補助上限額・補助率

従業員数補助上限額補助率
1〜5人750万円(賃上げ特例850万円)中小企業者:1/2(2/3)
小規模企業・小規模事業者、
再生事業者:2/3
6〜20人1,000万円(賃上げ特例1,250万円)
21〜50人1,500万円(賃上げ特例2,500万円)
51人以上2,500万円(賃上げ特例3,500万円)

補助下限額は100万円です。なお、補助事業実施期間は交付決定日から10か月以内(採択発表日から12か月以内)で、新事業進出枠・グローバル枠(いずれも14か月以内)より短く設定されている点も押さえておきましょう。

補助対象経費

主な補助対象経費は以下のとおりです。

  • 機械装置・システム構築費(必須)
  • 運搬費
  • 技術導入費:知的財産権等の導入に要する経費
  • 知的財産権等関連経費:知的財産権等の取得に関連する経費
  • 外注費
  • 専門家経費
  • クラウドサービス利用費
  • 原材料費
  • 広告宣伝・販売促進費

機械装置・システム構築費の計上が必須で、これを含まない申請はできません。経費区分ごとに補助対象経費総額に対する上限(1/3など)が設定されているため、計上額には注意が必要です。また、応募時に計上している経費がすべて補助対象として認められるわけではない点に、ご注意ください。

対象となる事業者

日本国内に本社及び補助事業実施場所を有する中小企業者等が対象です。業種によって資本金・従業員数の基準が異なります。

  • 製造業・建設業・運輸業など:資本金3億円以下 または 常勤従業員300人以下
  • 卸売業:資本金1億円以下 または 常勤従業員100人以下
  • サービス業(ソフトウェア業等を除く):資本金5,000万円以下 または 常勤従業員100人以下
  • 小売業:資本金5,000万円以下 または 常勤従業員50人以下

このほか、応募申請時点で常勤従業員数が0名の事業者は対象外です。

採択のための基本要件

採択されるには、補助事業終了後3〜5年の事業計画において、以下をすべて満たす必要があります。

  • ①付加価値額要件:付加価値額(営業利益+人件費+減価償却費)の年平均成長率を+4.0%以上増加させること
  • ②賃上げ要件:1人あたり給与支給総額の年平均成長率を+3.5%以上増加させること(未達の場合、補助金返還義務あり)
  • ③事業場内最賃水準要件:事業場内最低賃金を、地域別最低賃金より+30円以上高い水準に毎年維持すること(未達の場合、補助金返還義務あり)
  • ④ワークライフバランス要件:次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を策定・公表していること
  • ⑤子育て等に関する職場環境整備要件:指定の取り組みを1つ実施すること
  • ⑥金融機関要件:金融機関等から資金提供を受けて実施する場合、事業計画の確認を受けていること

①〜③は未達成の場合に補助金の返還義務が発生する重要な要件です。④の一般事業主行動計画は、公表申請から掲載まで1〜2週間程度かかるため、対象となる場合は早めの準備をおすすめします。

新事業進出・ものづくり補助金の申請スケジュール(第1回)

  • 公募開始:令和8年6月29日(月)
  • 申請受付:令和8年9月30日(水)
  • 応募締切:令和8年10月30日(金)18:00(厳守)
  • 補助金交付候補者の採択発表:令和9年1月頃(予定)

※公募要領・スケジュールは改訂される可能性があります(2026年7月17日にも締切等が変更されています)。申請をご検討の際は、公式サイトの最新スケジュールを確認しておくと安心です。

参考情報

本記事の内容は、以下の一次情報をもとに作成しています。申請を検討される際は、最新の公募要領・スケジュールを公式サイトでご確認ください。

新事業進出・ものづくり補助金 革新的新製品・サービス枠のまとめ

「革新的新製品・サービス枠」は、旧・ものづくり補助金の主軸を引き継ぐ枠で、自社の技術力を活かした新製品・新サービス開発を支援する制度です。

特に以下の点は押さえておきましょう。

  • 対象は新製品・新サービスの開発。既存プロセスの改善や単なる設備導入は対象外
  • 補助上限額は従業員規模に応じて750万円〜2,500万円(賃上げ特例適用時850万円〜3,500万円)、補助下限額は100万円
  • 補助事業実施期間は10か月以内と、他の2枠より短い
  • 付加価値額要件+4.0%・賃上げ要件+3.5%など、未達は返還義務あり
  • 第1回応募締切は令和8年10月30日18:00(最新の公募要領で要確認)

「自社の開発計画がこの枠の対象として認められるか」「既存製品の改良との違いをどう説明すればよいか」など、具体的なご相談はお気軽にご連絡ください。初回相談は無料、全国オンライン(Zoom)対応しています。

執筆:中小企業診断士×行政書士 瀧澤はるか