省力化投資補助金(一般型)第8回公募開始|制度の概要と変更点・注意点

省力化投資補助金(一般型)の第8回公募が始まりました。
本記事では、中小企業省力化投資補助金(一般型)公式サイトおよび第8回公募要領を参考に、制度の概要・対象となる事業、第7回公募要領との比較でわかった変更点、そして実際にご相談を受ける中で気づく申請書類の注意点をお伝えします。
省力化投資補助金(一般型)とは
本補助金は、人手不足に悩む中小企業等が、ICTやIoT、AI、ロボット、センサー等のデジタル技術を活用した専用設備を導入する際の費用の一部を補助することで、省力化投資を促進し、付加価値額や生産性の向上、賃上げにつなげることを目的とした制度です。
省力化投資補助金には「カタログ注文型」と「一般型」の2つの型があります。カタログ注文型は、あらかじめ国に登録された製品カタログから設備を選んで導入する簡易な仕組みです。一方、一般型は、自社の課題や作業工程、事業所のレイアウト等に合わせて機能・構造・性能等を個別に設計・開発した設備を導入する事業計画が対象となるため、カタログ注文型と比べて審査項目が多くなる点に留意が必要です。
対象となる事業者・対象となる事業
まずは自社が対象になるかどうか、事業者要件と事業要件の両面から確認しておきましょう。
対象となる事業者は、日本国内で法人登記等がされ、日本国内に本社及び補助事業の実施場所を有する中小企業等(個人事業主を含む)です。業種によって資本金・従業員数の基準が異なります。
- 製造業・建設業・運輸業など:資本金3億円以下 または 常勤従業員300人以下
- 卸売業:資本金1億円以下 または 常勤従業員100人以下
- サービス業(ソフトウェア業・情報処理サービス業・旅館業を除く):資本金5,000万円以下 または 常勤従業員100人以下
- 小売業:資本金5,000万円以下 または 常勤従業員50人以下
このほか、公募要領上、応募申請時点で常勤従業員数が0名の事業者は対象外とされています。
対象となる事業については、公募要領上「オーダーメイド設備」の考え方が中心になります。
オーダーメイド設備とは、ICTやIoT、AI、ロボット、センサー等を活用し、単一もしくは複数の生産工程を自動化するために、外部のシステムインテグレータ(SIer)等との連携を通じて、事業者の個々の業務に応じて専用で設計された機械装置やシステムのことをいいます。
そのため、汎用設備やパッケージソフトなど、オーダーメイド性のない設備・システムを単体で導入するだけの事業は、原則として対象外です。ただし、事業者の導入環境に応じて周辺機器や構成する機器の数、搭載する機能等が変わる場合や、省力化に資する汎用設備を複数組み合わせることでより高い省力化効果や付加価値を生み出せる場合には、オーダーメイド設備とみなされる余地があり、審査の中で個別に判断されます。

省力化投資補助金(一般型)第8回公募の概要
第8回公募の基本情報を確認しておきましょう。補助上限額・補助率は第7回までと変わっていません。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 公募開始日 | 2026年8月18日(火) |
| 申請受付開始日 | 2026年9月中旬(予定) |
| 公募締切日 | 2026年10月中旬(予定) |
| 採択発表日 | 2027年2月上旬(予定) |
| 補助事業実施期間 | 交付決定日から17か月以内(採択発表日から19か月後の日まで) |
申請受付開始・締切・採択発表はいずれも現時点では予定のため、最新の日程は公式サイトのスケジュールページで確認しておきましょう。
補助上限額・補助率は以下のとおりです。
| 従業員数 | 補助上限額 |
|---|---|
| 5人以下 | 750万円(賃上げ特例1,000万円) |
| 6〜20人 | 1,500万円(賃上げ特例2,000万円) |
| 21〜50人 | 3,000万円(賃上げ特例4,000万円) |
| 51〜100人 | 5,000万円(賃上げ特例6,500万円) |
| 101人以上 | 8,000万円(賃上げ特例1億円) |
補助率は、中小企業が1/2(最低賃金引き上げ特例適用時2/3)、小規模企業者・小規模事業者及び再生事業者が2/3です。
主な補助対象経費は、機械装置・システム構築費(必須、単価50万円(税抜)以上の設備投資が必要)のほか、技術導入費、知的財産権等関連経費、外注費、専門家経費、クラウドサービス利用費・運搬費となっています。
第7回からの変更点
補助上限額・補助率といった制度の骨格は変わっていませんが、第7回公募要領と読み比べると、審査・要件の細部に見過ごせない変更が加えられています。変更があった箇所を赤字で示しました。
| 項目 | 第7回 | 第8回 |
|---|---|---|
| 基準年度の定義 | 応募申請時の直近決算期 | 補助事業が完了した日を含む事業年度 |
| 計画面の審査(賃上げ) | 事業計画期間の最終年度時点の賃上げ率等を評価 | 上記に加え、応募申請時から基準年度までの「足下の賃上げ」も評価対象として追加 |
| 補助事業実施期間 | 交付決定日から18か月以内(採択発表日から20か月以内) | 交付決定日から17か月以内(採択発表日から19か月後の日まで) |
目標値算出の基準年度が「応募申請時」から「補助事業完了時を含む事業年度」に変わったことで、労働生産性や1人当たり給与支給総額の伸び率を計算する際の分母となる期間がずれています。
また新設された「足下の賃上げ」は、応募申請時から基準年度までの間、設備導入の完了を待たずに実施する賃上げを評価するものです。この期間の1人当たり給与支給総額の年平均上昇率が物価上昇率を上回らない計画は、公募要領上、審査で大幅に不利になるとされています。
基準となる物価上昇率について、省力化投資補助金の公募要領自体には具体的な数値は示されていません。同じく「足下の賃上げ」を評価対象とする「中堅・中小・スタートアップ企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金」では、消費者物価指数(CPI)の総合指数を参考値とする旨が明記されており、総務省統計局の公表によると2025年の消費者物価指数(総合指数)は前年比3.2%の上昇でした。あくまで別制度における参考値ですが、目安の一つとして押さえておくとよいでしょう。申請時点の最新の数値は、統計局の公表資料でご確認ください。
この「足下の賃上げ」は採択後交付決定までの間に従業員への表明が必須で、補助事業期間中の実績もモニタリング対象です。事業計画書の数値目標は、これらの変更を踏まえて準備しましょう。
申請書類でよくある不備
省力化投資補助金は電子申請のみで受け付けており、書類に不備があると差し戻しの上、訂正期限までに解消できなければ不採択となります。ここでは、中小企業診断士、行政書士として書類を確認する中で実際によく見かける不備を取り上げます。
Q.常勤従業員数は、勤務している人数をそのまま数えればよいですか?
A.公募要領上、常勤従業員数は中小企業基本法上の「常時使用する従業員」を指し、日々雇い入れられる者、2か月以内の期間雇用者、季節業務で4か月以内の期間雇用者、試用期間中の者は含まれません。この定義に当てはまらない人を人数に含めてしまうと、採択後に取消となることもある重要な項目です。パート・アルバイトや試用期間中のスタッフがいる会社は、カウント方法を一度整理しておきましょう。
Q.認定支援機関や専門家に事業計画書の作成を手伝ってもらった場合、特に申請書に書くことはありますか?
A.はい。申請画面の「事業計画書作成支援者名」「作成支援報酬額」の欄に、支援を受けた事業者名・報酬内容・契約期間を必ず記載する必要があります。支援を受けているにもかかわらずこの記載がないことが判明した場合、虚偽の申請として不採択や採択取消の対象になり得ます。士業や専門家に相談した場合は、この欄への記載を忘れないよう確認しておきましょう。
Q.50万円以上の設備を申請する場合、参考見積書さえ用意すれば書類は足りますか?
A.いいえ。公募要領上、単価50万円(税抜)以上の機械装置等・システムについては、参考見積書だけでなく、当該製品のカタログ、提案書、仕様書等、仕様・積算根拠がわかる書類をあわせて準備する必要があります。見積書のみでは価格の妥当性を確認できないと判断され、差し戻しの対象になることがあります。
なお、これらの書類はあくまで参考資料としての取得にとどめ、交付決定前に契約・発注をしてしまわないよう注意しましょう。
省力化投資補助金(一般型)第8回公募のまとめ
省力化投資補助金(一般型)は、人手不足解消に向けたデジタル技術活用設備の導入を支援する制度です。補助上限額・補助率は第7回までと変わりませんが、第8回では審査・要件の細部に見過ごせない変更が加わっています。特に以下の点は押さえておきましょう。
- 目標値算出の「基準年度」の定義が「応募申請時の直近決算期」から「補助事業完了時を含む事業年度」に変更
- 計画面の審査に「足下の賃上げ」評価が新設。設備導入前の賃上げも審査・モニタリング対象に
- 補助事業実施期間が18か月→17か月に短縮(採択発表日から19か月後まで)
- 対象はオーダーメイド設備。汎用設備の単体導入は原則対象外だが、組み合わせ方や構成次第で対象になる
- 常勤従業員数のカウント、外部支援者の記載義務、50万円以上の設備の仕様・積算根拠書類は申請書類で見落としやすいポイント
「自社の事業計画で基準年度をどう設定すればよいか」「足下の賃上げ計画をどう組み立てるか」など、具体的なご相談はお気軽にご連絡ください。初回相談は無料、全国オンライン(Zoom)対応しています。
参考情報
本記事の内容は、以下の一次情報をもとに作成しています。申請を検討される際は、必ず最新の公募要領・スケジュールを公式サイトでご確認ください。
- 中小企業省力化投資補助金(一般型) 公式サイト
- 一般型 スケジュールページ
- 一般型 資料ダウンロードページ(公募要領・様式集)
- 総務省統計局「消費者物価指数(CPI) 全国(最新の年平均結果の概要)」
- 当サイト「省力化投資補助金(一般型)とは」解説記事
執筆:中小企業診断士×行政書士 瀧澤はるか


